●闘神伝昴(TAKARA)

 ジャンル:3D格闘
 ハード:PS
 評価点:3

 闘神伝というゲームを御存知であろうか?かつてPlayStationと同時期(ゲームの発売日1995年1月1日)に発売され、鉄拳やバーチャファイターの両3D格闘ゲームでも、当時まだ明確化されていなかった軸の概念を操作に取り入れ、3D格闘ゲームであるにも関わらず、2D格闘ゲームと同じ操作感覚で、しかもパッド操作に措ける問題点でもある、複雑なコマンド操作をボタン一つである程度賄えるようにした事で、バーチャファイターのような細やかな駆け引きとは無縁な雑なシステムではあったものの、それ故にライトユーザーを上手く取り込んだゲームである。
 それなりの支持を得た闘神伝はその後シリーズ化し、またライバル機であったセガサターンにも「闘神伝S」というタイトルで移植された。そして闘神伝の発売からおよそ10ヶ月後(1995年11月24日)に「闘神伝2」が発売される。新キャラ、新技を追加し、またCAPCOMと提携してアーケードにも進出した。

 その後TAKARAは闘神伝の人気を背景に1996年になってから、「熱闘闘神伝(ゲームボーイ)」、「闘神伝2プラス(2の改良廉価版:PS)」、「にとうしんでん(PS)」、「闘神伝URA(SS)」をあれこれ他機種に手を出したり、サターンユーザーへの配慮もしつつ、2から1年以上の時(1996年12月27日)を経て「闘神伝3」がリリースされる。
 新キャラ含めて総勢32人と歴代シリーズ最高のキャラ数を誇り、3になってからボタンの組み合わせ(弱斬×3→強斬とか)による、要は鉄拳やバーチャファイターに類似したコンボシステムを採用。また1〜2からのリングアウト制を撤廃し、リングを壁で囲み、バーチャファイター3と同じく壁を利用したコンボも可能となった。旧来のシステムを切り捨てて、装いも新たに進化(迎合?)した闘神伝3だが、2〜3までの間にユーザー離れが始まっていたらしく、また突然の路線変更に旧ユーザーが着いて行けなかったのも原因で話題性は薄かった。32人の内のほぼ半数はコンパチキャラだったしな……。

 闘神伝3以降、鳴りを潜めたものの1997年6月20日に「パズルアリーナ闘神伝(PS)」という名の落ちモノパズルをリリース、どうもこの頃は落ち目のキャラを寄り集めて、落ちゲーにする風潮があったらしい。「ときめきメモリアル対戦ぱずるだま」とかな……。そしてそのまま落ちるかと思えば、1998年4月9日には「闘神伝カードクエスト(PS)」という名のボードゲームをリリース。が、両方受けは良くなかったのか、正直私もその存在を殆ど覚えていなかった始末である。

 世間的に「闘神伝?ああ、そんなゲームもあったねぇ」くらいの知名度にまで落ちた頃、1999年8月12日、ノストラダムスの予言だとかどうだとか騒がれてた時期に登場したのが「闘神伝昴」なのである。



 で、まぁ闘神伝シリーズの歴史を長々と綴った訳なのだが、振り返ってみて私は闘神伝シリーズは好きだった。なので、1〜3とシリーズを追い続けてきた。尤も昴発売当時には完全に冷めていたけどな。で、2006年時点での闘神伝の最終作品である昴に興味を持ったのは2005年の中頃。広島ではその手の中古探しは困難を極めるので、その年の年末に友人を訪ねるついでに見つけて来たという訳なのですよ。実質的に闘神伝シリーズの最後となった作品を、今頃になって見届けたくなり、そして今更ながらプレイレポートを綴った次第なのです。

 ストーリーは3から10年後のお話である。このシリーズ、何気にキャラや世界観の背景が細かく設定されているのだが、そこは殆ど割愛という事にしとこう……ていうか私もあんまり知らん。簡単に説明すると、四聖武具を集めると凄い力が得られるから、戦って奪い合え………と、言ったところだろうか。
 10年後という事で、キャラも概ね総代えである。が、3が総勢32人に対して、昴は隠しキャラ含めても13人とかなり控え目である。一応キャラ紹介もやっておく事にする。まぁ……着いて来てくれるかどうかかなり微妙なジャンルなだけに徒労に終わりそうではあるがな。


闘神伝昴を彩るキャラクター達


●主人公チーム

スバル シンジョウ
 主人公。高校を休学して修行の旅に出る放蕩息子。だが、その父親であるショウ(1,2の隠しボス。エイジとカインの師匠にして、エイジの兄)も息子を弟エイジに預けて失踪している。そしてそんなスバルの師匠でもあるエイジも四聖武具である白虎の太刀を置き去りにして失踪。ろくなもんじゃない。キャラ性能的には旧来のエイジのほぼコピー。

ナル アモー
 カイン(旧シリーズのメインキャラ、キャラ的には所謂ライバルキャラ)の養女。当の親父は娘を全寮制の学校に放り込んで失踪。この手の旧作キャラは新キャラの存在を食わせない為に失踪という手段が定番である。で、そんな彼女も学校をブッチして養父探しの旅に出る。キャラ性能的には旧来のカインの技を概ねコピー。尚、3にも隠しキャラとして登場していたりもする。幼女だったけど。

ルーク キャッスル
 女好きでヌンチャクを振り回す自称カメラマン。昔はストリートファイトでブイブイいわせてたらしいが、当時敗北した女に一方的に惚れ込む。


●ロリショタチーム

フェン ベアフット
 ショタ1号。パンツ一丁だが、そんな格好でも祖父の敵討ちの為に戦っているので、そっとしておいてください。ペットのブタ「ウルフィー」を使役する。槍を使うのでリーチが長い。この手のゲームだとリーチ長=攻撃速度低が基本なのだが、彼には適用されていないようだ。しかも飛び道具は弱誘導と割と卑怯な存在。

ランス レイクナイト
 ショタ2号。2D画を見ると一見女性に見えなくも無い。女のような男という、GGXXのブリジットよりも先にそのキャラを確立するも、ゲーム自体の知名度の低さの為、世間的には認知されず。

プエラ マリオネット
 ロリ。2の中ボスであるウラヌスから武器(朱雀の弓)を譲ってもらったらしく、技もそれに類似してなくも無い。パンチラ……というかパンモロ………いや、パン見せキャラ。なのだが、3D描写がPSだという事を踏まえた上でも粗い為、劣情を催すには少々難易度が高い。


●悪チーム

幻魔
 ジジイ。どういう経緯で手に入れたのか知らないが、カオス(2からのキャラ)が持っていたはずの玄武の盾を所持。

バン・ブー
 ロボ。技の殆どはガード不能の飛び道具だが、軸移動があるので脅威は少ない……ポンコツ?

みやび
 くノ一。百歩譲ってセクシー担当。ヌンチャクカメラマンを過去にボコボコにした経歴あり。コマンド投げで、背後に回って首に短刀を刺し、そのままジェット噴射で大気圏を突破し、再び落下するという愉快な技が必見。あと隕石も落す。


●黒幕チーム(全員隠し)

エイジ
 旧主人公。甥を放置して失踪したかと思えば、大会の主催者などやっていた。一応ストーリー上では「E」と伏せられていたが、取扱説明書にはしっかり出てるしなぁ……技は旧来とほぼ同じ。白虎の太刀を甥に取られた為、代わりの刀で抜刀術を気取るが、技の振りは居合には程遠く、付焼き刃にしてももう少し頑張って欲しかった。焔神修羅波(技名は覚えているが漢字は怪しい)は飛び道具だったのに、刀を振り回すだけになった……弱体化?

イオス
 羽根っ娘……と呼べるほど若くも無い。強化人間という設定らしく、その高い能力と美貌に嫉妬したウラヌス(?)に封印されていたが、エイジに解放される。美貌というものの、3D画は描画の粗さもあり、美貌とは程遠い面立ちである。いや、ぶっちゃけ反則的に拙く、顔面自体がブラクラといっても過言では無い。どんなドラマがあったか知らないが、モンド(1からの古参、昴にはいないけど)が持っていたはずの青龍の槍を所有する。

ゼロ
 同じく強化人間。だが羽根は生えていないし、何より野郎。大剣を片手で振り回す上に、どうもスタンド使いらしい。


●はぐれ者(やっぱり隠し)

ヴァーミリオン
 2の隠しボス。剣とか槍とかの格闘に銃器を持ち込む空気を読めない困ったチャン。片手にハンドガン、片手にショットガンという出で立ちだったが、昴になってから二挺拳銃にスタイルを変えた。二挺拳銃ブームを察知していたのだろうか?チーム制の中、単独で挑むが、通常攻撃からしてガード不能な上、弾速も速く、強斬(発砲だけどな)4発程度で相手をKO出来るという、あまりにもズル過ぎる仕様。旧作はガード可能だったのに………。



 の以上13名が昴の主な登場キャラである。チームに区切ってあるという事で、昴は3人一組のチーム制なのだ。KOFに対抗したつもりなのだろうか……。チーム分けした割には人数が少なく、孤独なヴァーミリオンを含めても5チームしか無い体たらくなのだが、これには立派な大人の事情があったりするのである。

 このゲーム、異様に読み込みが長い上に頻繁に読み込みが入るという、現代ではかなり耐え難い仕様なのである。一人倒されたら読み込み、一人倒したら読み込み……とチームバトルとしてのテンポは最悪ともいえる。どのくらい長いかといえば、NEO-GEO CDの読み込み並と言って分かって貰えると幸いです。まぁ……とにかく長い。

 システム面は旧来のリングアウト制もあれば、旧鉄拳のような背景の端がないステージもある。場所によっては試合中に徐々に足場が無くなって行くという、嫌がらせ以外何ものでも無い場所もあったりするが、これはOPTIONでON/OFF可能である。攻撃のシステムは旧来の大小斬り、大小蹴りの4つ分けに戻ったが、一応時代に合わせたのかチェーンコンボは可能である。ただし攻撃が外れた場合はコンボが発動しなくなるので、実用性は薄い。
 あと攻撃を弾くとかフリーランだとか、どう考えてもソウルキャリバー辺りからパクったとしか思えない、節操の無いシステム周りになってます。鬼神降臨というゲージ3本消費して、攻撃力防御力を上昇させるのと引き換えに体力が時間と共に消費する、というシステムもありますが、ゲージが貯まり切る前には大抵勝敗が決してたりするので、あっても無くてもといった感じである。シリーズ恒例のボタン1つで必殺技が出るという、初心者に優しい仕様は据え置きで、しかも方向キーとの組み合わせで殆どの技を出せるようになったのは、一応進歩だろうか。あと、技の強弱も分けられるようになったし。

 描画は初代まで退化したと言って良いほど粗い。あと60fpsの描画速度に慣れきった現代人では、30fpsは重過ぎる。3には60fpsモード(ただし背景が簡略化される)があったのに、何で昴でも踏襲しなかったのか甚だ疑問である。


 まぁ一通りやってみて、これではシリーズ復活には至らないという事は身を持って理解しました。それどころか消えかかっていた灯を完全に消してしまった作品とも言えなくも無い。尚、ミニゲームが何種類かあるのですが、全種類出すには都合9時間以上のプレイ時間が必要であり、それはすなわち拷問といっても過言では無いので省略。まぁグッズモード(各キャラ毎の3種類の特殊コスチュームと1種類の変りダネ武器を得る為のモード)でもミニゲームは取得可能らしいが、「ミニゲームが面白い」というのは、そのゲームに対する評価とは言えず、むしろ「ミニゲームに勝てない本編」とまで言い切ってしまえばそれだけになるので、敢えてしない事にした。

 長々と綴ったが、最後に一言添えるとしたら………







さようなら私の愛した闘神伝……約4年に及んだ健闘と壮絶な最期に敬意と冥福をお祈りいたします。



続編は……もう出ないだろうなぁ……TAKARAは実質KONAMIの犬だし、TamSoftもそれどころじゃ無いだろうし……。


参考文献:Wikipedia

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