●ゼルダの伝説 風のタクト(任天堂)

 ジャンル:ARPG
 ハード:GC
 評価点:7

 FC、SFC、GB、N64、GBAと任天堂ハードで必ず登場している何気に息の長いこのシリーズ、そして今回レビューの題材となるGC(ゲームキューブ)版の風のタクト。余談ですが、アメリカではゼルダの伝説のゲームウォッチ版が存在していた事を最近知り、素直に驚愕しました。

 これまでの絵柄から一変し、トゥーン・レンダリングで描かれたキャラクターは当初「ねこぢる」を彷彿させ少々困惑しましたが、そこは直ぐに慣れました。でも絵柄で引く人も結構いるので一応人を選ぶ……と追記しておきます。3Dにありがちな視点の悪さも無く、3Dの空間を活かした高いアクション性とそれを阻害しない優れた操作性、ただ敵を薙倒して奥へ進むだけの単純なアクションではなく、手持ちのアイテムや周囲のオブジェクトを駆使して頭を使って謎を解きつつ進むゼルダシリーズならではのダンジョン、ハードを変えてもゼルダらしさが全く損なわれていない作りには、ただ感心するばかりです。映画だかゲームだか解らないどっちつかずの残骸を作る為に「らしさ」をかなぐり捨てたメーカーに見習ってもらいたいものです。

 目線とか、表情などちょっとした細かい部分もよく作り込まれており、ストーリーも「リンク」「ゼルダ」「ガノン(最近はガノンドルフが正式名称らしい)」などのゼルダシリーズの御馴染みのキャラを踏襲しつつ、また少し違ったストーリーを魅力的に展開しています。また寄り道要素も多分に含まれているので、そういった部分でも楽しませてくれます。

 今作の舞台は大海原という事で、ゲーム中のフィールドは海の上を船で進んでいきます。帆船なので風が無いとロクに動きません。その為に今作のサブタイトルでもある重要アイテム「風のタクト」を使い、風向きを変えて船を走らせるのですが、当然方向転換する場合はその都度タクトを使って風向きを変えなければならないので、島から島への移動が結構面倒だったりします。なのでフィールド移動は結構間延びしてしまいます。
 また各所でも言われている事みたいですが、ダンジョンが少ないので物足りなさがどうしても否めません。これは各ダンジョンの攻略性が高いだけに残念でなりません。どうやら開発上どうしても時間が足りなかったらしい。

 世間的評価としては「時のオカリナに一歩及ばない」とか「もう少し作り込めば時のオカリナを超えられたのに……」と悲しいかな過去の名作と比較された声が多いようです。私は「時のオカリナ」をプレイしてないので、世間的評価はピンと来ません。やった感じとしては確かに少々物足りなさは感じましたが、良い作品である事には違いありません。中古¥980(広島某所価格)からは考えられないほどのコストパフォーマンスと断言出来ます。ゼルダファンならずとも、GCを所有するならやっといて損は無いです。寧ろお手頃価格の今だからこそプレイしてみては?
 逆に「時のオカリナ」をプレイしていない故に、純粋に「風のタクト」という作品を真っ直ぐ見た上で良い作品だと評価する事が出来ました。でもこうなると「時のオカリナ」がやってみたくもあるなぁ……。

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