おセンチ日記 外伝

☆始めに☆
 センチメンタルグラフティ2プレイ後の後日談みたいなモンです。厳密には2の話にはなりませんが、ふと気付いた事をまとめ上げて見ました。本編みたいにダラダラやるつもりは無いです(多分)。

☆お断り☆
 念を押して注意しておきます。私は別にセンチのファンサイトを名乗るつもりは毛頭ありません。ただ、馬鹿ゲーと呼ばれしゲームを正当に評価したり、誉め殺してみたり本能のままにコキ下ろしているだけです。それでも見るのは一向に構いませんが、「センチ命」とか「センチメンタルグラフティが無いと生きてられない」とかご自分で語られている方は止した方が良いかも知れません。

外伝1 外伝2 外伝3

外伝1「戦慄のせつなさMAP」

〜前作主人公は本当に外道だったのだろうか?〜

 センチメンタルグラフティ2のレビュー日記(途中からレビューでも何でも無くなってしまったが……)を終え、ドリームキャストとソフトを持ち主に返還する。持ち主の名は「マサP」、私の古い友人にして、おセンチ日記という苦行を与えてくださった方である。だが、かつて鬼畜と呼ばれた彼は私と友人・匿名キボ夫氏の策略により、私と同じ苦しみを味わう羽目になった。そんな折、マサPとセンチについて話をしていて、ふと浮上してきた話をこれから語るとしよう。
 目に余るアレさ加減でゲーム史に名を残した問題作「センチメンタルグラフティ」、登場する主人公は1通の手紙をきっかけに全国を駆け抜けるが如く12股という偉業を成した伝説級の漢。そんな彼を世間では外道だとか罵られている。確かに12股なんて最早人間の成せる業ではない。現実、二股が発覚してしまったら、その当事者達を巡る修羅場というのは想像を絶する。ていうか、したくないです。12股とくればそれは並大抵の修羅場ではなかろう。いや、修羅場という言葉すらも生温いのではないのだろうか。
 ここまでの文章で終わったら前作の主人公は間違いなく極悪人である。裁判沙汰になり最高裁まで控訴しても12人への莫大な賠償金は逃れられまい………いや、懲役かな?しかし、本当に主人公だけに負債を負わせても良いものなのだろうか?確かに結果で見れば主人公には弁解の余地は無いかも知れない。だが、この結果に至りつくまでに主人公は本当にこの結果を望んだのだろうか……。馬鹿ゲーの主人公だからと私も散々外道とか罵ってたのだが、ここは掌を返して彼の弁護に廻って見ようと思った訳である。

検証1:主人公の家庭環境
 自称馬鹿ゲーエッセイストを騙る私だが、実はセンチ1はやったことがなかったりする。まぁ資料等は充実しているので問題は無いだろう。 先ず、私が知る限りで前作主人公「奴瑠夏 碁芽州(どるげ ごめす:仮名)」の家庭環境を語っていこう。幼少期の彼は親の都合で転校を繰り返し高校になってどうやら東京で落ち着いたらしい。まぁその往く先々で女の子と親しくなるも、イイ感じになった位でまた転校を繰り返してきた。転校を経験している人は解ると思うが、その学校で折角好きな人(または親友)が出来たのに、突然親の都合でその地を離れなければならない悲しさを……。結構心の傷になったりもするが、転校した先の環境に慣れれば自然に傷は癒えていく訳だ。だが、1回2回ならいざ知らず彼はそれを12回も繰り返してきたのだ。幼少期の碁芽州の心境は如何なものであっただろうか。
 話の方向を少し変えて、転校する際、親友だった人が「手紙出すから……」とか言うよね?まぁそういうのって1回2回出したらお互いが忘れて自然消滅するケースが多い。どの位の周期で転校しているのかは不明だが、そんなに転々としてたら連絡つけ様が無いよね。手紙でのやり取りが自然消滅して忘れられてるかもしれない人に住所の変更知らせるのもナンだし………。碁芽州は行く先々で女の子に慕われるも転校別れしてしまうという、羨ましいようで悲しい運命を辿って来ました。その都度、きっと会いに行くよ的な約束を交わしていたようだが、まぁ小・中学生の頃の約束、ましてや転校して遠く別れてしまったとあっては、どちらかがその約束を忘れてしまってもそれを責める事は出来ない筈だ。何事にも時効というものは存在するのだから。
 転々と繰り返された転校も落ち着くときが来たようで、東京の高校に通ってそれなりに学園生活というものを満喫していた訳だが、そんな折に突然届けられた差出人不明の一通の手紙。「あなたにあいたい……」とだけ綴られた、碁芽州の人生を変貌させた一通の手紙が…………。

検証2:一通の手紙
 ここで質問、「あなたにあいたい……」と綴られた一通の手紙、だが差出人不明。こんな手紙が届けられた時、あなたならどうしますか?
1.破り捨てる。
2.心当たりのある人に確認する。
 2番を選んだ人は12股のチャンスがあるかもしれません。もしそうなったら前人未到の大恋愛にその身を滅ぼして下さい普通は1でしょう。まぁ2を選んだ碁芽州もどうかとは思うが、「逢いたい」とか手紙にして送るんなら宛名くらい書けよ!幼少に交わした約束を思い出したのか、思い当たった12人の女の子に的を絞った碁芽州は全国を旅する事になる。北は札幌、南は長崎と殆ど全国を網羅した彼は、確かに心当たりの女の子と再会するのだが、バイトと間違えられて働かされたり、矢で射抜かれたり等のショッキングな出会いのせいで手紙の事を一人も確認できないままに終わってしまう。インパクトの強い出来事に遭遇すると本題を忘れる事ってあるよね?だが、いざ普通に再会したとしてもストレートに手紙の事を切り出せるものだろうか?出せる人はズバッと出すんだろうが、出せない人もいる。碁芽州は出せない人に該当しただけである。大体手紙の事を訊ねて、もし違うとか言われたら気まずい事この上ない。下手をしたら的を絞った12人以外の人かもしれないし、ただの悪戯かもしれない。結局真意不明のままセンチ1はそこからゲームスタートである。碁芽州の苦行の……。

検証3:せつなさMAPが彩る地獄絵図
 再会した女の子達はそれぞれ、とても嬉しそうな様子を見せる。どうやら当初女の子1人しか覚えてなかった約束事が主人公が全員に逢ってしまったものだから、どうやら全員約束の事をぶり返してしまったらしい。これは碁芽州君薮蛇モノである。しかも誰が出した手紙かも判明しないままに……。ゲームの中で、女の子の切なさを表すせつなさMAPという日本の各地にハートが配置されたMAPがある。長い事逢いに行かないと、せつなさとやらが蓄積されるとハートが大きくなるらしく、限界まで蓄積されると女の子達は切なさの余り無言電話とかの報復に及ぶそうな。12人の女の子がそれぞれ報復行為に及ぶそうだが、それじゃあ碁芽州が手紙の真相を明かす事を諦めて普通に高校生活してたら12人分の無言電話が待ってるというのでしょうか?………これは怖い!かなり猟奇だ。普通に高校生活を満喫していた少年は過去に親しかった女の子と一回逢ったが最後、逢いに行くことを強要されるって言う事ですか。無言電話というのは1回2回ならまだしも、毎日続くとなれば結構精神的なダメージは大きいです。それを12人分と来ればおぞましいものになります。気の弱い人は耐えられないでしょう。ていうか、私も絶える自信がありません。こんなの1年続けられたら、恐らく碁芽州には病院で虚ろな眼をして病院の白い壁をボーっと眺める日々が訪れるでしょう。結局、彼に手紙の真相を明かす事を諦める事が許されなくなってしまいます。諦めたらゲームにならないかもしれませんが、仮にもマルチエンディングを騙るゲームならばその選択肢があっても良いのではないでしょうか?それが出来ないせいで奴瑠夏 碁芽州は地獄の日本巡りを敢行する事になる。

検証4:地獄の果てに見たもの
 12人の女の子に逢いに行くとは言っても、同じ街の女の子12人とは訳が違います。全国規模なのでその身体疲労は然る事ながら、財政問題が絡んできます。一口に交通機関といってもやはりピンキリである。鈍行で安く抑える事が出来るし、大枚叩いて飛行機で素早く移動も出来る。果ては碁芽州はヒッチハイクなぞと無謀な移動方法をも敢行する。自宅から電話で連絡してデートという名目で逢いに行き、遠回しに遠回しに手紙の事を切り出しながら女の子と思い出を作っていくのである。これが1人だけなら遠距離恋愛として(でもヒロインの1人って所在地が横浜なんだよなぁ……)辛うじて物語は成り立っていくのだろうが、しかし実際に逢いに行かねばならないのは12人である。明日は青森、明後日は返す刀で福岡直行とか……やはり一介の学生ではそんな遠距離移動を何回も行えるだけの財力を保つのは至難の業である。故、碁芽州はバイトをする。前からしていたのか、この苦行の為に始めたのかは不明だが、学生の身でバイトして、そのお金は全て旅費に喰われて行く。高校生ならバイトして稼いだ金で色々欲しかったろうに。でも我欲に走ると無言電話による報復が……、「己の欲」と「平和な生活」を常に天秤に掛けてバイトに勤しむ碁芽州の姿は周囲からどう映ったのでしょうか?
 やはり碁芽州が取るべき行動は「再会した時に手紙の事を切り出して、違うと言われたらそこでスッパリ切ってしまう」べきだったのだが、相手は切なくなったら無言電話に及ぶような女の子である。恐らく縁を切ろうとしてもただでは済むまい。手紙は破棄するのが正解だったのだ。だが、もう動いた後なので後の祭りであり、碁芽州はゲーム期間の1年を財力・体力・精神力をすり減らしながら戦い抜いて行く。高校生の身では「大ピンチ」とぼやいても、レイ○エ○ジェ○は助けに来てはくれない。仮に助けに来てくれても、「これだよ!」と喜んだ次の日は「♪はじめてのア○ム〜」とか唄いながら一層バイトに勤しむ姿が見られる事だろう。
 1年後、彼はあらゆるものを疲弊させながらも、手紙の差出人を突き止め、その女の子と晴れて結ばれる。だが、彼は大型トラックに轢かれ、非業の死を遂げる。だが事故の背景には余りにも不自然な事が浮上する。2のOPムービーを見て思ったのだが、いくら急いでるとはいえ、見晴らしの良い交差点であんな大きなトラックの存在を見落とせるとは思えない。奴瑠夏 碁芽州はもうその時点で精神力も限界に達していたのだろう。人生に疲れた彼は、道路に身を投げ出す……。恐らく真相を掴み意中の彼女と結ばれたその後も彼は残り11人の女の子の無言電話に耐えることが出来なかったのだろう……。無理も無い話である。1通の手紙に踊らされ、無言電話を恐れながらも身体と財布に鞭打って日本各地を駆け回り、苦労の末真相を掴み女の子と結ばれたにも関わらず、結局無言電話に苛まれ、疲弊しきった碁芽州は死を選ぶ……余りにも報われない報酬である。その後日、葬儀が行われる。大型トラックに潰されるような形で轢死した碁芽州、その亡骸はもはや常人には見せられない姿に変わり果てている事だろう。無論12人の女の子達は彼の遺体を見れるはずが無い。だが、事故死の背景にはまだ拭い切れない疑問が残っている。次回はそこを焦点に語ってみようではないか。

次回予告
 1年戦争を生き延びた奴瑠夏 碁芽州(どるげ ごめす)は、彼女と相思相愛になりながらも非業の死を遂げる。だが、事故の不自然な背景に浮上する幾つもの謎、果たして彼は本当に死んだのだろうか?
 次回、おセンチ日記 外伝2「せつなさを継ぐ者」。君は真実を知る勇気はあるか!?

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