Panicちゃん

☆始めに☆
 西暦1997年にセがサターンで発売されたソフト「Panicちゃん」のプレイレビューです。世の中には人目に付く事無く消えていったゲームは数多く存在します。このゲームもそんな消えていったゲームの一つではないでしょうか?

☆お断り☆
 一応断っておきますが、ぶっちゃけた話結構ネタバレものです。ありえないとは思いますが、もしこれからPanicちゃんをプレイしようと思ってる方や現在プレイ中などの方は閲覧を避けた方が良いかも知れません。

「実は早すぎたパイオニア!?」
 匿名キボ夫氏から依頼を受けて1〜2ヶ月、このゲームはずっと放置してました(笑)。いや、そのときはセンチメンタルグラフティ2に追われてプレイする暇が無かったのよ。まぁセンチ2も終わり、依頼を受けた以上やらない訳にもいかないので、家の奥を掘り返してセがサターンを取り出した。埃を被っているその姿は如何にもPSとの競争に敗れ、廃れて自然消滅したハードという事を物語っていました。そんな粗末に扱われていた過去の遺物が果たしてちゃんと稼動してくれるのかね?といった疑問をもちつつもサターンをセットし、電源を入れる。………どうやらまだ生きているようだ。むしろ家のPSよりもイキが良い(現在はPS2が活躍しているのでPSもサターンと似たような扱いをしている)。CDの回転する音がまるで俺はまだ死んでねぇ!!と叫んでいるようである。だがサターンよ、確かにお前は生きているかもしれないが、お前の時代はもう終わったのだよ。そして貴様の後継機も既に死んだ!!と、死体に鞭打つ発言をしても話は進まないので、ゲームを始める事にする………パンツァードラグーンTWEIを……うお〜〜〜〜ツヴァイ最高〜〜〜〜〜……だめじゃん(^^;)>。
 脱線しても話が進まない事はわかっている。その後、結局バーニングレンジャーが面白くてその日はPanicちゃんに触れなかった事は反省している。だが、パッケージからしてやる気を殺ぐをデザインとタイトル、OVAアドベンチャーという名の胡散臭いこじ付けジャンル、これを見て奮い立てる人は結構偉大かも。ちなみに私は奮い立たなかった、むしろ引いた。このゲームの発売当時、新品価格でこのゲームを購入した人は日本に何人いるのでしょうか?
 引きっぱなしでは話が進まんので、ゲームを始める事にする。……そういえば、あれから時間もかなり経過してるのだから内蔵電池が亡くなってても不思議は無い、ていうか案の定無い。これではセーブデータが記憶できないではないか。だが幸い私はバックアップRAMを持っていたので電池を買いに店に駆け込む手間は省けた。肝心のバックアップRAMがイカれていたらどうしようかとヒヤヒヤしたがどうやら無事らしい。サターンのバックアップRAMはすぐイカれてしまう事で有名らしい。過去、RAMがイカれて「ときメMの全キャラクリアデータが吹っ飛んだ〜(泣)」などと叫び泣き付く友人(?)を「心の底からざま〜みろ!このキ印ペD野郎がーーー!!」と罵りまくった事を思い出した。そもそも私に泣き付いても、なんも解決せんでしょうに……。
 ゲームを始めるとまずOPムービーが流れる。なんとも形容し難いような歌が流れる中、ムービーアニメが動くのだが、やはり所詮はセガサターンらしく画質が荒く、ヘボ臭い。で、ゲームの方は何のヒネりの無いアドベンチャーゲーム。選択肢が所々で出てくるのだが、違うのを選んでも同じ選択肢に戻される。昔のエニックスばりの強制選択肢。「そんな、ひどい……」
 とりあえず、ゲームの主なキャラ紹介を。主人公の名は「ケンゴ」(変更不可)、大学生なのかフリーターなのかはイマイチはっきりしないが、寂れたレンタルビデオ屋でバイトする好青年(説明書で書かれているのだからそうなんだろう)。友人「シンジ」はゲーム会社のプログラマー。いや、それだけ、マヂで。レンタルビデオ屋の「店長」、名前は無いらしい。客がいないのをイイ事に主人公に店を任せてパチ屋に入り浸る独身。そしてメインヒロイン「ぱにっくちゃん」、いきなりパソコンの画面から現れる前時代的な登場パターンを敢行する。フリルのエプロンにミニスカという直球的な趣味に突っ走った格好。ぱにっくちゃんのライバル格「とらぶるちゃん」、上半身がブレザーっぽいのに下半身は何故かチャイナドレスっぽいという、これまたエキセントリックな格好。こんな毒にも薬にもならない連中がゲームを彩ります。
 客のいないレンタルビデオ屋から物語りは始まるのだが、店長あわせて2人しか店員のいないビデオ屋、さぞ小さい店なんでしょう。で、その店長もろくに儲かっても無いのに「かわいい女の子をバイトに雇おう」とか無茶な事を言い出して、広告チラシの作成を主人公「ケンゴ」に任せて自分は店の金を持ち出してパチ屋に逃げる。これじゃ儲からんなぁ。で、パソコンでチラシを作るケンゴ。なんかパソコンの画面がMS−DOSっぽいのは何故だろうか?まぁ店が店だからとても現行のPCなんて購入できんわな。
 ビラを作ってるとPCの画面から突如現れるメインヒロインの「ぱにっくちゃん」。それを目の当たりにした主人公曰く、「僕の書いた理想の女性と瓜二つ」だそうです。どうも主人公の「ケンゴ」君は自分の描いた絵で萌える危険人物らしい。そして直球的な趣味のコスチュームも彼の趣味だという事が判明。ちなみに「とらぶるちゃん」は主人公の友人「シンジ」君の理想の女性像だそうです。二人揃って何処かに突っ走った趣味の持ち主らしい。で、まぁぱにっくちゃんがレンタルビデオ屋のバイトに入るところまでがプロローグみたいな感じです。
 ゲーム自体はあっても無くても変わらない選択肢がチョボチョボあるだけの基本一本道のアドベンチャーで、あっても無くても変わらない選択肢がゲームのテンポを阻害してるのでむしろ無い方がよかったような気がする。自慢の90分を超えたアニメの方もサターンだという事を踏まえた上でも手抜き臭い。巨匠(?)木村貴宏氏のキャラが泣いてるぜ。でもって、OVAアドベンチャーという事でアニメを省略すると物語の本筋が解らなくなってしまうという、脅迫的なストーリー展開(ていうか、省略不能だった気がする)。
 だが、このゲームにもれっきとした長所たるものは存在するのである。アニメシーンに胸プルとパンチラが多い!!!ギャルゲーを愛でる人間にはこれは重要なはず(?)。あとは、意外にもストーリーの構成。このゲームは1997年に登場したのだが、当時としては斬新なストーリー展開を見せてくれました。メチャクチャネタバラシですが、実は主人公達の住む世界は1997年を延々と繰り返された世界で、その世界の住人約1億人は1997年の記憶だけの存在というオチでした。で、「ぱにっくちゃん」と「とらぶるちゃん」は1億人の記憶の思念が偶然産み出した分子プログラムだそうだ。1億人分の思念があって産まれたのはたった2人。まるでマンボウの卵のようだ。まぁそれはケンゴ君とシンジ君の意志がそれだけ強かったって解釈すればいいのだが……1億人の意志に打ち勝つってのも何か変な気がするなぁ……2人はニュータイプ!ってことにしとくか……。
 まぁそんな人の意志で産まれた「ぱにっくちゃん」と「とらぶるちゃん」はマザーコンピュータとやらに制御されている1億人の記憶の中に自らを量子プログラムに変換し、ダイブする。その時に「ぱにっくちゃん」はケンコ君の記憶が記録されているチップに、「とらぶるちゃん」はケンコ君の記憶が記録されているチップにダイブした。ちなみに「とらぶるちゃん」の方がダイブ中に何らかの形でウィルス感染してしまい、マザーコンピュータ破壊を目論む敵になっていたらしい。……なんかマトリックスみてぇ……。
 このゲームはビデオテープの映画の中に入って、話を進めるのがメインになっている。で、ビデオの内容が更新されてしまうと、世界が亡くなってしまうという、なかなかトンデモな設定があるのだが、ビデオの内容がマザーコンピュータから配信されているものらしいので、それを改竄すればマザーにウィルスを流し込んでマザーを破壊するというカラクリだそうだ。マザーコンピュータとか大仰な呼ばれ方をしている割には偉くセキュリティの弱わっちいシステムだ。結局、ケンゴ君・シンジ君共々分子プログラム化し、現実世界に実体を持って戻ってくる。そういうモンらしい。で、男2人女2人でなんかイイ感じになった後、残りの人達も分子プログラム化しようというところで話は終わる。
 まぁ設定やらオチやらに色々問題はあったものの、1997年発売のこのゲームは1999年に上映された「マトリックス」よりも先にこのテのネタを使っていたのである。正に時代の先取りである。だが、残念なのはゲームがゲーム故に日の目を浴びれなかった事、1997年といえばセガサターンはPSに圧され始め、とにかく状況を打開しようとソフトが乱造された時代。このゲームもそんな乱造されたソフトの一つなのだ。アニメやゲームのシステムは確かに(特にアニメ)ヘボかったが、ストーリー自体は決して悪いものではありませんでした。細かい設定とかがもう少ししっかりしていれば、結構良いゲームだったかもしれません。ゲームはケースの見た目とかでは判断できませんねぇ……。

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